ハイトーンブリーチを施術した結果、髪が切れてしまった。なぜ??
ハイトーンを含め繰り返し同じ箇所にブリーチを施術して髪が切れることはあります。
このようなことは頻繁に起こることではありませんが、ブリーチを含め薬剤が毛髪に与える影響はプロとして美容師として知っておくことが重要です。
また薬剤により何らかの影響が毛髪に及んでしまった時ヘアケアの対処方法も知っておくと良いでしょう。
毛髪が切れることは理由があります。
今回は、薬剤が毛髪に与える影響、毛髪が切れる理由、その対処方法を記事に書いています。
私は、美容師歴20年、講師歴6年ほどあり、現在はヘアカラーをオンラインコースで教えています。ヘアカラーコーチのアツシです。 美容師アシスタント、初級スタイリスト向けにヘアケア、ヘアカラーに関する記事をブログで発信しています。 サロンワークで感じる分からないこと、疑問に思うことの解決になれば幸いです。 オンラインコースでは、無料のメールマガジンや有料のヘアカラー、ブリーチをコースで勉強できる自主学習版で教えています。是非、ブログでご案内していますので見に来て下さいね。
早速、本題に入っていきますが、
結論を早く知りたいあなたのために簡単にまとめると、
ハイトーンブリーチをした結果、髪が切れた?その答えは、
- 過度な強アルカリによって毛髪内部コルテックス部のフィブリルと呼ばれる一番中心に存在するプロトフィブリルのポリペプチド結合、「主鎖(縦の結合)が切れてしまい毛髪が切れたことになります。
詳しく知りたい、理論派のあなたは最後まで読んでいただければ幸いです。
- ブリーチ(薬剤)が毛髪に与える影響
- ハイトーンブリーチで毛髪が切れる理由
- 対処方法
薬剤が毛髪に与える影響、ハイトーンブリーチで毛髪が切れる理由、その対処方法がわかります。
1)ブリーチ(薬剤)が毛髪に与える影響
アルカリ剤はコルテックス内部の間充物質に影響してしまう
そもそも、ブリーチ剤は強アルカリで毛髪に与える影響はかなり大きいことが言えます。
ハイトーンブリーチ
ブリーチ1回ではハイトーンになりません。
なので2回、3回と繰り返しブリーチを施術しないとハイトーンになりません。
ハイトーンまでブリーチを行う場合は毛髪に相当な負担がかかることは言うまでもありません。
ヘアカラーを含めブリーチなどの薬剤は毛髪を形成する、側鎖、主鎖、に対して化学反応でどうのこうの作用させるものではありません。
※主鎖に関してはパーマ剤を含めた薬剤で何らかの作用をさせることはありません。 理由は、主鎖に化学反応で作用させると毛髪が切れてしまうからです。
ヘアカラーを含むブリーチは毛髪内部のコルテックス部に存在するメラニンに対して化学反応で作用させるものです。
ですが同時にコルテックス部の間充物質(ケラチンタンパク質、非ケラチンタンパク質)に対しても影響してしまいます。
間充物質はアルカリにより毛髪外部に流失する傾向があります。
間充物質はフィブリルとフィブリルの間を取り巻いていますが、間充物質が流失すると、フィブリルが不安定になり、過度なブリーチに対してはポリペプチド結合が切れてしまいます。
間充物質は毛髪に艶感を与える水分や、弾力、ハリコシといった毛髪を維持するための重要な部分です。
繰り返し過度なブリーチを行う場合やハイトーンブリーチを行う場合は毛髪に与える影響を踏まえ慎重にブリーチを施術するようにして下さいね。
間充物質は痛む?
通常、髪は弱酸性で(ph4.5〜ph5.5)最も安定しています。安定しているということは、側鎖(横の結合)主鎖(縦の結合)が正常で、キューティクルも閉じているということ。
ブリーチは強アルカリ(ph11~ph15)ヘアカラー剤は大凡(Max ph10)アルカリが強いほど毛髪に与える影響も大きい。
アルカリが強くなればなるほど、毛髪のphが上がり痛みます。ハイトーンブリーチは、2回〜3回ブリーチを施術してハイトーンにしていきますが、メラニンの脱色と同時に間充物質の流出は避けられません。これにより、間充物質にダメージが及んでしまいます。
ハイトーンブリーチを施術した場合(ブリーチ3回)
- 間充物質のダメージ小
- 間充物質のダメージ中
- 間充物質のダメージ大
このようにハイトーンになるまでブリーチをした結果、毛髪内部のコルテックス部の間充物質に相当な負担がかかります。ダメージが大きほど毛髪外部への流失も大きいと言えます。
施術前の毛髪ダメージレベルによっては1回目のブリーチでかなり間充物質にダメージを与えてしまいます。
ハイトーンブリーチを施術する場合は、施術前の毛髪ダメージをよく視診、触診してから、ハイトーンブリーチによる毛髪のダメージをお客様へ伝えること。
いずれにしてもカウセリングをしっかり行って下さいね。
2)ハイトーンブリーチで毛髪が切れる理由
プロトフィブリルと呼ばれる箇所が切れると毛髪は切れる
ハイトーンブリーチや、ハイトーンカラーをしていない毛髪で、
施術前の毛髪ダメージがあまりない場合は初回のハイトーンブリーチで毛髪が切れることは私の経験上ありません。
しかし、施術前の毛髪ダメージがある場合はハイトーンブリーチで毛髪が切れることも考えないといけなせん。
頻繁にハイトーンヘアカラーを施術している、頻繁に縮毛矯正をしている、頻繁にデジタルパーマをしているなどの毛髪はダメージがあると考え、施術には注意が必要です。
- ハイダメージ毛にハイトーンブリーチを施術した場合、毛髪内部の間充物質が強アルカリによって流失しダメージとなり、コルテックス部の中心部のプロトフィブリルに存在するポリペプチド結合が切れて毛髪が切れるといった現象が起こります。
これが毛髪が切れてしまう理由です。
主鎖が切れてしまうと元に戻せません。
毛髪にとってとても深刻な状態になります。
毛髪は、側鎖、主鎖の結合で形成されています
側鎖に関しては、結合の弱い順に
- 水素結合
- 塩結合(イオン結合)
- シスチン結合(S-S結合)
- ペプチド結合
この4つで形成されています。
これらは、毛髪内部のコルテックス部の間銃物質の部分に含まれています。
水素結合、塩結合、は水や毛髪ダメージで切れてしまい、さらにはアルカリ剤により切れてしまいます。この段階では、しっかり乳化し、しっかり毛髪を乾かすことで再結合します。
ハイダメージ毛にハイトーンブリーチを施術した場合
ペプチド結合も切ってしまいます。ヘア関係の薬剤では化学反応でペプチド結合を切るといったことは起こりませんが、ハイダメージ毛、ハイトーンブリーチなどが重なると切れてしまいます。
主鎖に関しては、コルテックス細胞内部の
- マクロフィブリル
- マクロフィブリル内部のミクロフィブリル
- ミクロフィブリル内部のプロトフィブリル
- プロトフィブリル内部は螺旋状のポリペプチド結合(ポリペプチド結合が切れると毛髪は完全に切れてしまいます)
これらは薬剤で作用させることはありませんが、
ハイダメージ毛、ハイトーンブリーチなどの条件が重なると切れてしまいます。特にポリペプチド結合切れてしまった毛髪は最悪だと考えましょう。
頻繁にヘアカラーをしているハイダメージ毛にハイトーンブリーチを施術した場合
- 1回目ブリーチ 間充物質のダメージ中
- 2回目ブリーチ 間充物質のダメージ大
- この時毛髪がゴムのような状態でテロテロして毛髪が伸びる状態でしたら、この段階で施術を止めるこが大事。
- 3回目のブリーチは止める
1回目のブリーチの段階で2回目のような毛髪の状態でしたら、この段階でブリーチを止める。
このように、ハイダメージ毛にハイトーンブリーチを施術する場合は、施術中の毛髪の状態をよく見る必要があり、これ以上無理と判断した場合は、以降の施術を止める事が大事です。
毛髪が切れてしまいます。
毛髪が切れる時の毛髪の状態は、コルテックス内部の側鎖である毛髪の重要部分ペプチド結合と、主鎖の各フィブリルの中心部であるポリペプチドが耐えられない状態で、その後切れてしまうことになります。
再結合できない箇所ですので覚えておきましょう。
3)ハイトーンブリーチ毛 対処法方
毛髪が切れてしまった場合は対処不可能ですが、ハイトーンブリーチ毛でハイダメージとなってしまった毛髪は、完全には戻せませんが、少しでも毛髪の良い状態、これ以上ダメージの進行にならないためにもヘアケアの対処、アドバイスは行なって下さい。
ホームケア
美容室専売品のカラー用のヘアケア、シャンプー、ヘアマスク、アウトバストリートメントを使うようにアドバイスして下さい。
毛髪のダメージレベルに関係なく、ハイトーンブリーチを施術した場合はアフターケアとして、
市販のものより美容室専売品をお勧めします。
市販のヘアケアに比べ、美容室専売品のヘアケアは、それだけ特化して製品になっているため、ハイトーンブリーチ毛に対し効果はかなり期待できます。
シャンプー、ヘアマスク、アウトバストリートメント全て使うと良い理由
- カラー用、ハイダメージ用シャンプー
- 特にシャンプーによる毛髪の摩擦を防ぐ効果があります。きめ細かい泡立ちが特徴で摩擦によるキューティクルの損傷を防ぎます
- カラー用、ハイダメージ用ヘアマスク
- ヘアマスクはトリートメントより毛髪内部を補う成分が多く含まれていて、集中トリートメントして使われています。ハイトーンブリーチ毛に対して、毛髪内部を補う事が期待できます。特に間充物質の代わりとなるセラミド配合のヘアマスクが良いでしょう
- カラー用、ハイダメージ用アウトバストリートメントは
- 髪の表面を整えキューティクルの代わりとなり毛髪内部のタンパク質、水分の流失を防ぐ事が期待できます。ハイトーンブリーチ毛は特に水分不足になりがちです。オイル系、エマルジョン系どちらも良いですが皮膜形成力の高いものがお勧めです
サロンヘアケア
美容室でのトリートメントを受けるようアドバイスしましょう。
ハイトーンブリーチを施術されたお客様でハイダメージ毛となってしまった場合は、
定期的にメンテナンスをしてあげた方が良いでしょう。
ホームケア+サロンケアでキレイなハイトーンブリーチ毛を維持できるように考えるのも良いかと思います。
お客様のご都合もありますが、美容師としてヘアケアのアドバイスはしっかりお伝えしましょう。
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ハイトーンブリーチで毛髪が切れてしまったケースで、なぜ切れたのか記事にしました。
ハイトーンブリーチは、施術前の毛髪ダメージをよく見て的確にいこなって下さいね、いずれにしても、ハイトーンブリーチは毛髪に相当な負担がかかる事を理解して下さいね。
ハイトーンブリーチを施術する上で毛髪に与える影響は大きく、毛髪に負担がかかることは覚えておきましょう。
ハイダメージ毛へのハイトーンブリーチはコルテックス内部の間充物質がアルカリによって流出し毛髪の状態を悪化させてしまいます。
間充物質の流失により、フィブリルにダメージを及ぼすと、最終的にポリペプチド結合に影響し毛髪が切れてしまいます。
ハイトーンブリーチでダメージ毛となってしまった場合は、美容室でのトリートメント、自宅でのヘアケアアドバイスなどは、必ず伝えて下さい。